2012年5月1日火曜日

ふるさとに行く

私は、祖父の代から3代目続く東京暮らし。なので、まあ、もう東京人と言って差し支えないでしょう。実際、田舎に帰るとか帰省するとか言っても、私はとくに行く所がありません。でも、私の意識のなかでは、その祖父の郷里、埼玉県の毛呂山町にある“滝の入”は、私にとって大切な田舎なのです。子どもの頃は、お彼岸と言えば、祖父に連れられて滝の入を訪れました。土間があり、蔵があり、狭くて急な階段を二階に上がれば蚕を飼っている。それこそ「となりのトトロ」さながらの風景がありました。裏山には大きな養鶏場があり、鶏たちのやかましい鳴き声と、不思議に暖かい鶏舎を歩いて、卵を集めるのは本当に楽しかった。 お世話になった滝の入のおばさん、正確には祖父の兄の娘がこの4月に他界しました。身内を送るのはさびしいことです。葬儀には行かれませんでしたが、日を改めて、ふるさとにお線香をあげに行きました。 八高線の毛呂駅は電化区間から外れ、高麗川からディーゼル電車に乗り換えます。拓けたとは言いながらも、駅と駅の間は必ず森林風景が広がる場所です。ふるさとの家の前の道は立派に舗装されたものの、蔵もあり、面影は昔のまま。おばさんは遺影でしたが私に微笑んでくれました。「よしきさん、よく来たね」声が聞こえてくるようでした。 今は裏の鶏舎も、カエルやザリガニを採った小川もなく、ずいぶんと様変わりしてはいましたが、私にとって大切な人々の思い出は変わらず、そこにありました。 もう、代も替わり、人も移り、滝の入に行くことはないのかもしれない。その風景をしっかりと胸に収めて、家路につきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿