2016年9月25日日曜日

三週連投


舞台監督の連投三週目。今週末はサンパール荒川にて佐藤一昭先生率いる荒川フィルハーモニー合唱団の定期演奏会です。荒フィルさんとは2005年第17回定期演奏会の際、佐藤先生からオペレッタの合唱曲を使って荒フィルらしいストーリーのある作品を書いてほしいと依頼をいただいて以来の長いお付き合いです。荒川にまつわる歌詞を荒フィル団員が書き、安藤由布樹先生が作曲された組曲「あらかわ」や、石川啄木の生涯を綴った合唱組曲など、最近の定期演奏会では、台本、演出、舞台監督などの仕事をさせていただきました。そして、今回の定期のお題が「山田耕筰」です。耕筰は文筆でもかなりの才能があり、彼の自伝というのがとても面白く、私は佐藤先生から本を貸していただいて、いっぺんに読み切ったほどでした。でも、それを合唱組曲の台本にするとなると、じつに難しい。本当に苦しく、筆はなかなか進みませんでした。というのも、耕筰は作曲家です。残念ながら、石川啄木が生涯の時期に応じて歌を詠んだのとは異なり、耕筰は生き様に応じて嬉しい曲、哀しい曲を書いてはくれません。耕筰の母が亡くなったときのエピソードに、楽しい曲調の作品を添えるわけにもいかず、さて、何を選曲して、どう物語とくっつけるかとなると、これはもう難題中の難題をいただいたとしか思えない状況に至りました。

それでも時間は無情にも過ぎてゆきます。私が書かなければ、小川先生も作曲できません。曲の遅れは、合唱団の練習時間に直結します。悩み、迷った挙句、耕筰の代表作「この道」を、耕筰の人生の《道》として、彼が転機を迎えるたびに変奏の形をとって何度か登場させようと私は考えました。ヒントはムソルグスキーの「展覧会の絵」です。印象的な組曲の冒頭を含めて、全曲で何回か演奏される《プロムナード》のような役割を「この道」に果たしてもらおうと意図したです。
本番、一週間前の稽古で、私は初めて耕筰組曲の全体を耳にして、小川類先生が私の意図を完璧に実現してくださったことに感謝しました。短い稽古時間しかなくなってしまったことで、荒フィルに対しては申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、スピリットあふれる荒フィルのこと。本番は熱のこもった演奏を聴かせてくれました。舞台袖で、ひたすら感謝!でした。
 下手袖の舞台監督席にて
 リニューアルして座りやすいと好評のサンパール荒川の客席
 熱のこもったリハーサル
指揮の佐藤先生、ピアノの原先生、お疲れ様でした

0 件のコメント:

コメントを投稿